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**公害の防止
主に酸化チタンと貴金属やレアメタルの複合材料や、酸化チタンと貴金属やレアメタルを表面担持したフィルターなどの酸化物触媒を使い、排煙や排水に含まれる有害物質を無毒化することに成功した。
その浄化能力は目を見張るものであり、工場から出る排煙や排水は、北国のすがすがしい空気や澄んだ地下水にも匹敵するほどである。
これは先に湾岸工業地帯の建設計画が持ち上がる以前から最優先事項として触媒技術の研究を行っていたことが成功の鍵であったと言えよう。
工業が栄えるのはすばらしいことである。しかし、それによって民が苦しむことがあってはならないという悪童屋の強い思いが研究者の熱意につながり、良い結果をもたらしたのである。
**燃料精錬技術の向上
燃料精錬所で行われている燃料精製の能力を新しい触媒を使って大幅に改善することで、燃料に含まれる不純物を取り除き、より質の高い燃料を生産することに成功した。
一般に、燃料は使用時に有毒な化合物が発生する。
これは不純物によるものが多く、高質の燃料を使うことで大気汚染の防止にも繋がるのだ。
また、燃料が流れるパイプやタンクの不純物による腐食も低減させることができるため、工場設備のメンテナンス性工場にも役立った。
**化学製品および医薬品の製造技術向上
化学製品、特に医薬品などのファインケミカルズの合成にも、触媒技術が多く使われている。
今までは合成時に発生する不純物を取り除ききれなかったものも、高度な触媒技術を使って精密な合成を行うことができ、不純物の発生自体をさせないことで根本的解決とした。
この技術を使った医薬品は、不純物の含有による副作用が起きないため、安全で高品質な医薬品を生産できるようになった。
また、これらの製法は大量生産にも向いているため、安全な医薬品を安価に普及させることができ、医療現場のみならず一般家庭での健康維持にも貢献した。
同技術によってや農薬の安全性を向上させることも可能になり、食の安全に敏感になっていた国民たちを喜ばせた。
**リサイクル
貴金属やレアメタルが使われている触媒は、当然のことながら採掘量が少なく高価であり、一般材料に比べて入手が難しい。
この希少な金属を湯水のように使うことは出来ないため、有害物質の分解能力が落ちてきた触媒をリサイクルすることにした。
もちろん、希少であるとはいえ、涼州藩国の山々や砂漠から採掘することは可能だ。
しかし、山を切り崩すことは環境破壊につながり、度を越えれば雪崩、山崩れなどの大型災害によって民を危険にさらすことになる。
そして、いくら機械化を進めるとはいえ、採掘作業者の安全の確保は絶対ではない。
そこで涼州藩国ではリサイクル率100%を目標とした。
リサイクルもまた触媒技術を応用して行うことにより、金属関連物質においては99%以上がリサイクル可能となった。