―――夜の執務室にて―――
悪童同盟に夜の帳が降りて昼間の喧騒が嘘のように静かになった。
一人で考えをまとめたい時にこの部屋に来ていた。最近、プライベートの場所から灰皿が除けられていた。現在では喫煙所を除くとこの場所以外喫煙できる場所はほとんどなくなってしまった。
机の引き出しに入れてあるシガレットケースを開いて一本取り出し火をつけた。一服しながら思うのは犯人がわかっているのだが止めろと言えないあたりが辛い所であった。
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もう一本煙草に火をつけて
「まったく…。なんで戦闘機なんだよ…。」
「結婚式のイベントだぞ!どうやったら戦闘機に化けるんだ」
松から奪った仕様書に目を通しながら
「しかも、無駄に高性能だし…。」
紫煙を吐き出して
「一番困るのは悪意がまったくない所だな…。本気で怒れん。」
もう一度、煙を吸い込んで一息
「さて、そろそろ仕事するかな…。」
ペンをとって文章を書いているが思いのほか上手く書けず始めの一行から進まない。書類の頭は…。
▼▼祝 奥羽りんく・奥羽恭平結婚記念▼▼
▼▼ 悪童同盟ドレスコンペ ▼▼
ここで読み上げる一文なのだが簡単に引き受けたがこれが難しかった。首脳陣の意見は俺らしく書けばいいじゃないとか簡単に言うが…。
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『つかの間の夏休み、されど忙しい日々が続いております。
そんな中、新しい仲間の結婚式を祝福する事ができてこれほど嬉しい事はありません。
ただ、自分の力不足を各藩国の皆様に協力を仰ぐ事でより良い結婚式を挙げさせてやり
たいと思っております。皆様ご協力宜しくお願い致します。
悪童同盟藩王:悪童屋 四季 』
と書き込んでペンを置いた。結局、色々考えたが無難な文章にまとまった。時計を見るとこの部屋に来てからかなり時間が経っていた。そろそろ帰ろうかと思ったらドアをノックする音が聞こえた。
ノックの音が聞こえた時から藩王の顔ではなく普段見せる事のない優しい顔になっていた。
以上となります。