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**／概要 [#nc0607c6]
涼州藩国。元はヲチ藩国と悪童同盟と呼ばれていた二国が合併してできた藩国である。
合併という物が元来そうであるように、この合併もまた、双方に利益をもたらすという事で合意が取られた。具体的には実動員数だったり、作業メンバの組み合わせだったりがある。
が、この合併によって起こった涼州藩国で、問題が起こり始める。
これもまた合併国では良くあることではあるが、人口の肥大化、規模の拡大、など、次々に急な変化が訪れたのである。
たとえば、産業の発展。商人も議員も我こそはと競い合い、野心家達が牙をむき出しにして富と利権を求め始めたためである。陰謀吹き荒れる野心家達は、どこか学校に入りたての子供を思わせる落ち着きの無さがあった。
しかしこの事実は、加速度的な環境変化をもたらした。
だが、発展によって得られた金字塔は、また同時に巨大な影も落としていた。
生活レベル、及び教育の二極化である。
とくに際だったのは西部（旧ヲチ藩国民）の北国人である。Ｔ１３時点において、彼らは二等市民と呼ばれている。早い話が貧民層であり、日々の食事にも困っているか、あるいは豪商と呼ばれる人々の指示を受け下請けをし、こき使われ日銭を稼ぐ日々だった。
／＊／
ではどうするか。
「高所得者に対しては税率のアップをしようか」
会議が進む中、そう発案したのは藩王悪童屋・四季である。
「そこから藩国で振り分けるのがいいと思う。公的の教育機関を作ろう」
先にもいくつか案はあったが、結局の所、これを実現させることに、なった。
／＊／
ちなみに、その頃別の案で四時間ほど会議していた一部ＰＬ達はこの急な方針転換に「まじっすかー」とぐらぐらしていたりする。
**／政策概略 [#a339f9e6]
・涼州藩国における教育・福祉強化政策
当藩国では現在、生活・教育レベルの二極化が進んでいる。この事態を憂慮し、藩国政府は次のように政策を進める事とする。
ここでは「高所得者の税率増加」を実施する。これにより集めた資金は教育、福祉関係予算へと配分する。その後、公共教育機関、公共福祉施設といった公的施設の設置や補助金の制定（教育補助、育児補助等）を行い、低所得層の生活・教育レベルの向上を目指す。
この支援補助は特に藩国西部地域に対して行われるものとする。
**／実際の所 [#ec8d95c3]
Ｔ１３、三正面作戦が展開されていたその頃、涼州藩国では別の問題も浮上しかけていた。
作戦の一環で、炎の騎士団が開示されたさい、派生に「恐怖に見舞われる帝國諸国（強制イベント）」なる物があったのである。これは涼州藩国においては「核の先制使用及び十歳以下の全員改造歩兵化」が議会決議されそうになる、という形で現れている。これに関しては緊急で集まって政策実施され、藩王の演説もあってかろうじて踏みとどまった。
が、その後、気になることが出てきた。
いくら何でもいきなり「核の先制使用及び十歳以下の全員改造歩兵化」が浮上して決議されるというのは変だろう、という話である。
ということは、こんな事もあったんじゃないか、という話が、出た。
以下、あったかもしれない話である。
／＊／
「これでよろしかったでしょうか」
「ええ」
心配そうにたずねる議員に、鷹揚に頷いたのは黒服の男性である。
「先頃の議会提案、こちらの希望したとおりのものでした。核の先制使用、歩兵改造の推進。すでに約束の資金は振り込んであります。あなたとはいい取引ができそうです」
「それはよかった」
ほっとしたような顔をする議員は、先の会議で歩兵改造、核の先制使用を声高に歌っていた人物である。
一方でその向かい立っている者の所属を、セプテントリオンという。
「今後とも良い取引が出来る事を」
「ええ。私どもとしても、あなた方のような心強い後援者は是非とも」
「はい。それでは」
しかし彼らの計画は、別の陰謀によって見事にたたきつぶされることになる。
しばらく後、政府の発表したのは「高所得者の税率アップ」という話だった。
無論のこと反論はしたかったが、世論は、そんな金持ち達の思惑とは真逆であった。貧困層の人々は大賛成したし、普通に暮らしていける者も、金持ちならと頷いたのである。金持ちは金を巡らせない限り民に歓迎されないのであった。
で、結局の所。「取引」によって莫大な資金を得たくせにその議員はその資金のほとんどを教育、福祉のために持って行かれてしまったのであった。
先の陰謀による国内浸食を図っていたセプテントリオンも「とほほ」という感じで身を退いている。
悪事のために渡したはずのお金がいいことに使われたのが、微妙にショックだったらしかった。ついでにいえば、税率アップの関係でもうあんまり大々的な儲けが見込めなかった。今なら何やっても税という理由でむしり取られかねない。まさに「とほほ」であった。
ちなみにセプと手を結んで莫大な金を得て有頂天になっていた議員達は、「とほほ」ダメージで撤退したセプという後援者を逃して、いきなり失脚していくことになる。
／＊／
ところで、そういった議員とは別に、いきりたった者もいる。
豪商、と呼ばれる人々である。
その多くは合併を機に大量の資金をむしりとって財を成した者達であった。
彼らは「俺の時代が来たーっ！」と言っているところで、この増税騒ぎである。
まあ、いきり立たないはずもなかった。
だが残念なことに、ならこんな国出て行ってやる、とも言えない。彼らは新興であるが故に未だ外部進出できるほどの伝手もなく、またそれなりに安定した収入源であるこの国の土地を手放すのが惜しかった。
そしていろいろ計算した結果、大部分が国に留まることになった。
もっとも、
「まあ、素直に税金払った方が体面もいいし、ついでに言えばこれで教育、福祉に貢献したと大々的に宣伝できるし」
つまりは、名前が売れるからという利益漬けの計算のたまものではあったが。
／＊／
まあ実際の所は実際の所として。
後に、Ｔ１３における涼州藩国の豪商の台頭とは、次のように語られる。
それはこうだ。
「国民が苦難に陥る中、豪商達は財を天下に巡らし、飢える民、貧しき民に手を伸ばし、帝國民足る誇りをその日もまた、示したのだった」
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