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難民受け入れに対する藩王からの告知

難民受け入れを緊急会議で議決!

共和国から流れてくると思われる難民を受け入れるかどうかの是非を問う緊急会議で決議を行い全会一致で可決され受け入れる方向となりました。
これを受けて緊急で決定した事項は

アイドレス工場を支援設備の製造ラインに切り替えを決定
・食料5万tの暫定の放出を決定!必要に応じて適時追加支援を決定
・ライフラインの整備を特需して藩国内事業して緊急決定
・難民受け入れにおける治安低下を危惧して藩国内の治安維持のための人員募集開始
・PLACE悪童屋・四季の治療師の能力を使って感染症の拡大を最小限に抑える

以上となります。追加事項に関しましては随時更新していきます。

                       署名 悪童屋・四季

新たな難民受け入れ・支援に関する政策を実施!

・難民の正式雇用
市民病院と消防署の設置
広場の掲示板設置

詳細は、各所に設置しました広場の掲示板でお知らせします。
難民を含む藩国民の皆様は、お近くの広場の掲示板をご覧ください。
人材募集等に関してのお知らせも随時そちらに掲示するように致します。

                       署名 悪童屋(代) ゆうみ

新領民受け入れの分担発表!!

悪童同盟は最大人数である400万人を受け入れることとなり、それに伴って皇帝、宰相府から新領民受けいれ体制の確立のための資金の提供を受けた。

それらの資金は新領民受け入れの為の食料の買い付けをNACに依頼を決定し藩国内の食料不足に備えた。そして、一部暴徒と化した新領民と藩国内の国民との衝突を避ける為に新たに警察署の設置も検討に入った。
新領民の雇用対策として、藩国運営計画案にある施設の建設を前倒しで発注し優先的に雇用する事を確約した。藩国民には燃料生産地の拡大に伴い、生産能力アップが望まれる燃料精錬所の拡張工事も行う事を決定した。

                       署名 悪童屋・四季

−拡張工事の様子−

1213631496.jpg
(絵:NEKOBITO

難民キャンプ

共和国から大量の難民発生の報を受けて、悪童同盟でも対策に動き出した。
砂漠の国ゆえ好き好んで移住してくるものがいるとは思えなかったが、
もともと砂漠地帯に住んでいたものは苦にならないだろうし
それ以外でも選り好みできる状態ではないという藩王の指摘により
国民ほぼ総出でキャンプの設立が粛々と始められた。

土地だけは潤沢に余らせている悪童同盟ではあったが、
それは逆にライフラインの整備が行き届いていないことをも意味していた。
受け入れ態勢を整えるためとはいえすぐに水道をひくわけにも行かず、
国内にある給水車の数だけではすぐに輸送力不足に陥るのは明らかだった。
そこでこれまた藩王の指示により、燃料輸送用の車両を改装して給水にあてることにした。

食糧は潤沢にあるわけではなかったが、保存に適したものが多いのでしばらくは持ちそうだった。
問題は砂漠特有の気候。昼は灼熱の太陽が、夜は極寒の星空が難民たちを襲うだろう。
ただでさえ消耗の激しい難民たちにとっては命に関わるほどの苦痛に違いない。
断熱素材のシートで作ったテントが国中からかき集められ、設立が行われた。
新開発の試作太陽電池素材も、図らずもここで実践の機会を得ることとなった。
昼の太陽光を電気エネルギーとして蓄積して、夜の暖房にあてることができるのだ。
流石に数が少ないので医療テントのような限られた場所に投入されることとなったが、
これが結果として多くの命を救うことになるだろうと皆考えた。

このように惜しげもなく資材や技術を投入できるのはやはり藩王の言葉が国民の胸にあるからだ。
先の見えないこの事態に対しても、今できることをやるしかない。
天より恵みの雨降らぬ悪童同盟だからこそ人が動かねばならぬ、と。

(文:よっきー

猫の神様とその手下の猫による支援活動

悪童同盟の夜は猫の王国である。

猫の神様達はそれぞれ12匹の手下を従えて、夜の砂漠を闊歩する。
そこでは難民の受け入れが始まっていた。

「僕らは慣れてるけど、みんな大丈夫かなぁ?」
「私と一緒に来た人達は元々西国人だったからある程度は・・・でも、他の国の人にはきついんじゃ?」
「前は森国人だったので、ここに来てしばらくは体が慣れなくて辛かったですぅ」
「そういえばよっきーさんもゆうみさんも、引っ越して来た当初はかなりきつそうだったなぁ・・・」
「でも悪童さんは大丈夫そうだったよ?」
「悪童さんはFEGにいた頃に経験してるから大丈夫だったんじゃないでしょうか」
「お昼間が暑いから、余計に体力消耗してるんじゃない?」
「何かお手伝いできることがあれば・・・」
搾り出すように声を出したのはこの騒動で移民してきた藤原ひろ子である。
最愛の恋人である藤原総一郎はFEGに残っているが、旧知の知人であり、帝國軍元帥でもある悪童屋へFEGの治安技術などを伝える為に、単身悪童同盟へと移って来たのだった。途中で路頭に迷っている避難民達を脱出者も同行し、避難民はかなりの人数に膨れ上がった。同時期にお腹の子を気遣ってFEGから疎開してきた時野あやの・健司夫妻の助けもあって、やっとの思いで悪童同盟にたどり着いたのだが、身重ではあるが夫とともにいるあやのとは違い、ひろ子は不安も相まってかなり疲弊していたのだ。しかし総一郎さんもFEGで頑張っているのだから私もと、疲れた体と心に鞭打ってこの場にいるのだった。

「家を建てるにも建材が足りないしなぁ・・・傷口を舐めるとかぐらい??」
「猫ですから、一緒にいるだけでも癒されたりしないでしょうか?」
「一緒にいる、というのはいい考えだな。猫のゴロゴロという声−振動−は超音波骨折治療と同じ原理だ」
ヨルクサの静かな声に、キサルが続ける。
「そうだった!それに、骨だけじゃなくて呼吸困難とかも和らげる効果があるって聞いたことがある!」
「じゃあゴロゴロ言ってたらいいの?」
「直接触れないと振動の効果は薄くなっちゃうんじゃない?暖もとれるし、寝るときに一緒にいてゴロゴロ言うとかどうでしょう?」
「添い寝・・・」
赤くなるりんく。新妻はこれだから・・・。
「あのさー。女は女、男は男にくっつけばいいじゃない。治療なんだから」
「それに子供やお年寄りなら性別が違っても大丈夫でしょ?」
「そっ、そうですね!女性や子供やお年寄りを治せばだいじょうぶー」
りんくがあたふたしていると、すぐそばで砂地を歩く足音が聞こえた。
「あっ、恭兵さん・・・」
どうやら最後の数歩は、警戒されない為にわざと足音が聞こえるようにしたらしい。
それは無意識に足音を消してしまう奥羽恭兵の心遣いでもあった。

「手下の猫は8*12=96匹だな。未病の人達は彼らに任せて、情報収集をしてくれないか?」
「それに・・・FEGから来たお嬢さん二人はかなり疲れているだろう?まずは休んでもらえ」
「はいっ」
「あやのさんとひろ子さんは私の家で休んでください。おふとんふかふかにしていますから、明日には元気になってますよ!」
「で、でも・・・新居にお邪魔しては・・・」
「私達は今夜動きまわっていますから気兼ねなく休んでください。元気になったら一緒にがんばりましょう!」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」
「ありがとうござ・・・(ぱたり)」
ほっとして倒れこんだひろ子を背中に乗せて、りんくは、あやのを連れて新居へ。
彼女達の配下の猫36匹は、指示通り未病の人達のいるテントへ急ぐ。

「さすがはゲリラだねっ」
はしゃぐ戒人の口をあわてて豆腐がふさぐ。
「いや、構わないさ。りんくの為に、俺は正義のゲリラとやらになってみることにした」
「かっこいいー!!」
豆腐の手から脱出した戒人が恭兵を憧れのまなざしで見つめる。

一拍の沈黙の後。
「さぁ、私達もがんばりましょう!!」
テノレの声に、残った6人と60匹が一斉に動き出す。

悪童同盟の夜は、夜明けを呼ぶための大切な時間でもあるのだ。

(文:ゆうみ)

藩王 悪童屋 四季の想い

―――『できる限りの難民を受け入れよう…。
          これで藩国の資産が底をつくが仕方ない』―――
                  執務室で藩王がこぼした独り言

 藩国民が悪童同盟として何かしないのかと連日に渡って詰め寄せてきた。新興国ゆえに様々な人の想いが今回の藩国民の行動になったのだろう。ありがたい限りでありこの民意に答えられるようでなければ何が藩王かと思う。横にいる妻をみて王城のテラスに歩き出した。この向こうに待つものは藩王の登場を待つ歓声か?あるいは無能とののしる罵声なのか?
 
先日、帝國軍の方に籠もっていた俺に届いた一報は藩国民の不満だった。誤報かと思ったが理由を聞いて納得してしまった。『何もしていないことへの不満』というのであれば確かにその通だった。
藩国民のやる気とそれに対応して寝る間もなく慰問している妻の期待と裏切るわけには行くまいと帝國軍兵器開発コンペの資料と戦いながら、藩国会議を緊急招集して行おうとしたがすでに会議室にはその時動けた皆が対応の話をしていた。このときには新しく入国した仲間も来て早々に会議に出てもらった。口で説明するより見てもらった方がよっぽど早いからであった。

それからの藩国内の動きは早かった…。
藩王は急ぎ決議された事を藩国内に発表し、兵器生産工場I=D工場を支援設備の製造ラインにきりかえを命じた。これは無償で藩国内に設置され、難民キャンプで使用されるライフラインとなりそれを設置する人材の募集などの予定しており藩国内はにわかに特需と仕事が増えた。それに摂政の意見により新規取得予定アイドレス『新素材の開発』で開発中の『太陽電池』の投入を決定して藩国内、キャンプ地内の燃料不足を補った。また、自ら治療の為に藩国を巡回する事を決定しスケジュールの調整にはいった。
あとは各自、国庫の食料の計算をして難民キャンプへの対応するもの、難民受け入れ時の混乱、治安低下を抑えるために各地域の自警団の設立を呼びかけ自ら参加するものなど藩国民一丸となって難民キャンプの設営に従事していた。

 あとは藩国民の審判を待つだけであり。願わくば共に歩いていきたいものである…。

(文:悪童屋 四季

旅人の国

発布された翌朝早く、会議室では避難民に対する支援活動について検討が行われていた。
前日に皆で集めた情報を持ち寄って、問題点の把握と対策に頭をなやませる一同。

「猫達に未病の人の支援をしてもらってはいますが、一般的に難民キャンプでは血流の悪化による体力の低下が起こる可能性が高いので心配です」
「軽いストレッチや体操程度でも体を動かせばいいんだけどね、勧めてもそんな気になれないという人が多いんだ」
「着の身着のまま非難して来た人もいるし・・・」
「いつまでこんな生活が続くんだ!ってイライラしてる人がいてこわかった!」
「それどころじゃない、いつまでここに置いてもらえるのかすら不安に思う声もある」
「支援設備の製造やライフラインの整備の人手が足りていません!」

「人はいるじゃないか。避難して来た人達も雇って支援に参加してもらおう」
悪童屋の静かな声に、ヒートアップしかけた会議室内がまとまった。

「そうですね、キャンプにこもって不安な日々を過ごすよりも、その方がいいという人もいるかもしれない」
「僕だってこんな時には家族や仲間の為に何かしたいと思うだろうし」
「何もできないとなると精神的な辛さで体力も落ちてしまいそうだ」
「給料が出るとなれば、やる気が出る人も少しは増えるかもしれない」

「それにね。避難してきたといっても今はうちの国民と同じだと思っていることを知ってもらいたいんだ」
悪童同盟の藩王、悪童屋 四季は一度目を伏せ、そして、静かに開いたその眼差しを窓へと向ける。

「ここは旅人の国。どこから来てどこへ行こうとも、俺は大切な民だと思っている」
その言葉、その声から発せられる、優しさと力強さに、皆の想いが重なった。

「力仕事ができる人は、支援設備の製造やライフラインの整備を」
「配給や救護テントへの搬送も手伝ってもらおう」
「簡単な手当てやマッサージの方法を習ってもらうのもいいかもしれない」
「マッサージは非常に効果的ですね。軽くさするだけでも血流がよくなる」

議事をまとめていたりんくが悲鳴を上げそうな程、山のようにプランが集まった。
だが、まだ悪童屋は何かを考えていた。

「子供達にも何かしてやれないだろうか」
そうだ。大人だけではない。子供達も立派な民なのだ。

「教育・・・いや、そこまでいかなくても、折り紙をしたり、お話をきかせてあげるのってどうでしょう?」
「そうだな。それならお年寄りにも年少の者にもできそうだ。お互いの国の昔話を語り合うというのも楽しいだろうし」
「早急に広場用の屋根を用意しましょう。I=Dを作るよりはずっと簡単で楽ですよ」
「お茶やお菓子も用意して、人が集まりやすいようにしましょう」
「人と人とのふれあいは、どんな薬にも勝ります」

そこからはインフラ整備とふれあいの場設立の2グループに分かれて話し合いが続いた。
明日には、いや、今日の昼には目に見えた形で実施され始めるに違いない。

トップダウンとは程遠い藩国運営ではあるが、みんなやりたいことは一つだ。
皆と共に、出会いと別れを繰り返しながら歩んでいく。
だからこそ、有事の際にも一丸となって突き進むことができるのだろう。

旅には思い出がつきものである。
良い思い出も、悪い思い出も・・・。

救護テントへ走る道道中、ふと思う。
(この辛く厳しい旅は、彼らにとっての良い思い出へと昇華されるだろうか?)
いや、これが良い思い出になるようにするのが俺の、悪童同盟という国の務めなのだなと、悪童屋は心の中の鏡に向かって一人つぶやいた。

(文:ゆうみ)

アイドレス工場/インフラ整備の作業風景

アイドレス工場では突貫作業が行われていた。
偶然通りがかった時にその風景を見て、避難民である僕は目を丸くした。
何故かって?
突貫作業の方が好きなんじゃないだろうかと疑いたくなるぐらい、悪童同盟の人達は生き生きと働いていたからだ。

僕はまだ働くには早すぎるよってお母さんに言われたけど、難民キャンプのテントの中にいてもやることがないし
体を動かすのは嫌いじゃないから働いてみることにした。
おこづかいが欲しかった、ってのも、まぁ、あるけど。

働き始めた初日、不思議な事がたくさん起こった。

作業がうまくいかないなーと困っていると、どこからともなく助け舟がやってくる。
「これはほら、コツがあってさ。こうやると楽なんだぜ。そうそう!うまいじゃないか!」
「こういうのって他の藩国の人に教えちゃって大丈夫なんですか?こう、悪童同盟の人だけの秘密のノウハウだったりとかしません?」
帝國は共和国を敵視してるっていうし・・・秘密を漏らしたら怖いことになっちゃったりしないんだろうかと心配になって聞いてみた。
そしたら、意外な答えが返ってきたんだ。

「バカいうなよ、おまえだって今は悪童同盟の人、なんだぜ?」
「えっ?」
「ここは旅人の国なんだよ。藩王だってそうさ。理由はともかくおまえも旅してここへ来たんだろう?だからここにいる間は立派な国民だぜ?」
「じゃあ、いつまでなら難民を受け入れるとか、そういう期限を切られたりはしないってこと?」
「あっはっは!まさかそんなことするわけがないだろ?気に入ったら住み着いたっていいぐらいの話さ」
その言葉に緊張がほどけたらしく、僕と同じ藩国から来た避難民の一人が嗚咽と共に大量の涙を流して泣き出した。
「ヒクッ・・・よかった・・・よかっ・・・」
あわてて彼の背中をさする。

僕の後ろで作業していたおじさんがタオルを差し出そうとしたけど、油まみれなのに気づいてやめたみたい。
かわりに、恥ずかしさを紛らわすように質問していた。
「しかし、こんな突貫工事、普通は嫌がるもんじゃないの?」
「いや・・・ここは工場内だから屋根もあるし、ましてや地面があるから余裕だってー」
「海底油田を掘るときはそりゃあ大変だったんだ。なんせ海の上だろう?けど、俺はバランス感覚がいいから、波で揺れても大丈夫!」
バランスを取るジェスチュアをしておどけるおにいさん。
「何言ってんだおまえ、『俺泳げないんだー!』って柱にしがみついてたくせにー」
ヒゲのおじさんの突っ込みに、笑いの渦が巻き起こる。

笑いはいい。
は、とう音と共に不安や疲れを吹き飛ばしてくれる。
さっき泣きだした人もつられたようで、今度は笑いすぎて涙を流していた。

一瞬で雰囲気が明るくなり、さぁ、作業を続けようぜとリーダーのおじさんが言ったその時、
背も低いが腰はもっと低い感じの青年と、長い黒髪の子供が通りかかった。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様でーす!」
ちわーっす!おつかれっすー!と言うみんなに混じって、僕も元気に挨拶した。

一瞬、子供の顔が曇ったような気がしたけど、気のせいだったのかな?
瞬きしたら笑顔に戻ってた。
その子はすぐに、えらく大人びた口調にで二人の作業員に休憩を勧めた。
「あなたとあなた、かなり疲れてる様子ですね。一旦休んでください」
はぁ、じゃあお言葉に甘えて・・・と、青年に連れられて2人の作業者が休憩室へ向かう。
子供の方は青年と別れ、扉の向こうにある隣の現場へと進んでいった。

「今のは?」
「摂政のよっきーさんと、暫く前にやってきた技族のNEKOBITOさんだよ」
「自分では大丈夫なつもりでも、慣れない作業だと自覚がなかったりするんでね、ああやって休むように言ってくれるんだ」
あんなにちっちゃくても技族でバリバリやってるのかなぁ?
NEKOBITOさんってちっちゃい子なのにすごいんですねぇ」
「え?ん?・・・ああ、いや、そうか」
質問の意味に気づいたヒゲのおじさんが、くくく、と、笑いをかみ殺す。

「今休憩しろって言ったちっちゃい方の人がよっきーさんだよ」
「ええっ!?」
思いもよらない答えに一瞬凍りつく。
僕だけじゃない。他の人もびっくりしてたよ。
「そうか、こないだの作業説明の時、台に乗ってなかったから見えなかったんだなー」
「いや、どう見ても子供でしょ?」
だよね?僕も信じられないや。
「見た目は子供、中身は・・・頭脳明晰な頼れる摂政さ」
へぇぇ、偉い人は見た目にも違うんだなぁと、よくわからない納得をして、あわてて作業に戻る。
会話の間もベテランの人達はずっと作業をつづけていたことに気づいたんだ。
僕も負けちゃいられないよね!

(文:ゆうみ)

アイドレス工場/休憩室にて

FEGから非難して来た自分は、当然だが西国人だ。
砂漠の環境には慣れているけれど、難民キャンプにいるとどうも気が滅入りそうで仕方がない。
そんな風に思っていたらインフラ整備の作業員募集が始まって、1も2もなく手を挙げてみた。

さっき子供に休むように言われたけれど、そんなに疲れてもないと思う。

休憩室までの道のり。

「申し遅れました、私、NEKOBITOと申します。技族をやっていましてー」
「この国に来たのが暫く前なので、初めての突貫作業なんですけど、わからないことがあったら聞いてください。一緒に勉強しましょう」
「ふつつかものですが、よろしくおねがいしますー」
笑顔で自己紹介した後、青年がひょこっと頭を下げる。
「あ、ええと、よろしくお願いします」
「よろしくおねがいしますー」
あわててこちらも頭をさげ、自己紹介をする。
(上から物を言われるとまでは思ってなかったけど、ここまで腰が低いと拍子抜けするなぁ・・・)
そんな事を考えていたら、もっと驚くことを聞かされた。

「えーっと、さっき休めって言ってくれた子供さんは?弟さんですか?」
「いえいえ、摂政のよっきーさんですよ」
いやいや、そんなこと笑顔で答えられてもどう反応していいかわかんないって!
子供が・・・摂政!?
きつねにつままれたような顔をしていると、隣の森国人が、ああ、という表情になった。
「そういえば、最初の作業説明の時にちらっと見かけたような?」
「えっ!?どこに?」
自分が見たのは、眼鏡をかけた痩身の女性と、髪がツンツンした全身白の男性、それに目の前にいるNEKOBITOさんだけだったはずだ。
「うーん、前の方じゃないと見えなかったかもしれませんね。今回は急いでて台を用意していなかったので・・・すみません」
いや、そこまで謝らなくても・・・。
「言われてみれば、確かに聞いたことある声だったような・・・」
よっきーさんはすごいんですよ、仕事が早いし、こっそりだけどいっぱいフォローしてくれるし」
「他の人もそうですけど現場主義で。人材は燃料なんて比較にならないほどの宝物だっていうのが悪童同盟の考え方なんですよ」
第7世界人といってもいろいろなんだなぁ。

休憩室に着くと、一緒に来た彼が、ふらっとなって床の上に倒れこんだ。
大の字でスースー寝息をたてている。
「ちょっと休憩が遅かったみたいですね・・・すみませんでした」
聞こえてはいないだろうが、夢の中にいる彼に律儀に謝って、青年は眠っている作業者をベッドへと運んだ。
ついでに、隣のベッドから転がり落ちている人を抱えてベッドへと戻す。
NEKOBITOさんって意外に力持ち?

kukeijo.jpg

自分はテーブルにすわり、喉を潤す事にした。
そのテーブルには数人分の食事が用意されていたが、手をつける様子がないのを見て、青年が人差し指を立てる。
「疲れていても食事はちゃんと取ってくださいね。ほんっと、重要なんですからー」
「うーん、そこまで疲れてるって感じもないし、お腹が減っているわけでもないんだけど・・・」
と悩みながらも、まぁまぁ、と青年に勧められて用意されていた食事に手をつけてみた。

ほどなくして数名の作業者が同じように休憩室へとやってきて、わいわい話しながらテーブルを囲む。
見知った顔はいなかったが、すぐに打ち解けることができた。
どうやらベテランの作業者が多かったらしく、壁に貼ってあった写真を指差しながら、燃料生産地燃料精錬所を建てた時のエピソードを話してくれた。
もっとも彼らの説明によると悪童同盟の藩国民の殆どはベテラン作業者であるらしいのだが、それは置いておこう。
毎度毎度突貫工事で、でも
また、悪童同盟を立国したのは、旅人の悪童屋、元森国人のよっきーとゆうみで、それぞれ別の藩国から集まったことを知った。
そして、彼らは藩国自体が引っ越したから、俺達も国もひっくるめて全員旅人なんだぜ、すげぇだろ?と自慢気に語っていた。

団欒しているような気分になって食が進み、気づいたら皿は空だった。
「ここでは、自分が食った皿は自分で片付けるのさ」
と、後から来たのに自分より早く食べ終わったスキンヘッドの男がいろいろと教えてくれた。
聞くところによると、自分達避難民の受入を一早く訴えたのは今一緒に働いている人達だという。

難民支援になかなか動きだそうとしない上層部に怒りを覚えて暴動になりそうになったところを
藩王の奥方様−スイトピー様−が止めてくれたのだと言っていた。
「暴動起こしていたらここまで藩国をあげての支援はできなかったよ、さすがは奥方様だよなぁ」
そうつぶやいたスキンヘッドはちょっと赤くなっていた気がした。
確かに、スイトピー様はものすごい美人だ。

お腹が膨れて初めて、自分が疲れていたことを自覚した。
話している間は睡魔の手から免れていたが、落ち着いたら眠くて仕方がなくなったので簡易ベッドにもぐりこむ。
ただの仮眠用のベッドが今の自分には最上の寝心地に感じられて・・・ちょっと幸せかな?なんて思いながら眠りへと落ちていった。

(絵:NEKOBITO/文:ゆうみ)

りょっかうんどう

(砂漠に木を植える!?そんなことして何になるんよ?)

そう、思ってた。

だいたい、うちらは難民で。
命からがら逃げ出してきたわけで。
(そんな、他人の事どころか木の事まで世話してられへんわ!)

そう、ムカついてた。

でも、うちは間違ってた。

おやつが出るらしい、と、それだけを目当てに”りょっかうんどう”とやらに参加した。
お父ちゃんとおかあちゃんには内緒やった。
おやつ目当てなんて恥ずかしくて言われへんかってんもん。
子供みたいやん。

広場に行ったら、大人も子供もよーけいてびっくりした。
小さなスコップで土を掘り返し、苗木をそっとくぼみに置き、やさしく土をかけていく。
みんなおやつが欲しいんかな?と思ったら、大人はおやつをもらってない。
(なんでタダでこんなことやってんのん?)
不思議に思いながらも、となりのおっちゃんがやってるのを真似てやってみた。

そしたら・・・なんか変なことが起きてん。
めっちゃ涙が出てきてん。
手は泥だらけになったけど、あふれる涙に洗い流されるように、心は綺麗になっていった。

(なんでこんな・・・悲しいんじゃなくて、嬉しいのでもないのに泣けてくるんやろう・・・?)

うちが子供やから、こういう時に涙がでるのを知らへんねやろか?
おかあちゃんやったらわかるんやろか?

いくつかの苗木を植えて、水をやって・・・作業は終わったのに、なんでかしらへんけど呆然と立ち尽くしていた。
涙は止まらへんわ、西日がきついわで目が痛くなってきた。

(夕日が目にしみるってこういうこと?)

だいだい色の空が広場から良く見えた。
まぶしいな、と思っていたら、おじょうちゃん、と、声をかけられた。
うち泣いてへんもん、と自分に言い聞かせて、必死に涙をぬぐってから振り返った。

「西国の夜は冷えるのよ。日があるうちにテントに戻ろうね」

笑顔のおねえちゃんに連れられて、テントに戻った。
おとうちゃんも、おかあちゃんも心配してたみたいで、うちの顔みたらすごい喜んでた。
なんか・・・なんかよくわからへんけど、おとうちゃんとおかあちゃんに抱きついてわんわん泣いてしもた。
こんなん赤ちゃんのすることやん、って思ったけど、止まらへんかった。

そのままうちは泣きつかれて寝てしもたらしい。
泥だらけやった手足も、おかあちゃんと・・・テントまでついてきてくれたおねえちゃんが綺麗に拭いてくれたらしい。

枕元にはおやつの入った袋が置いてあった。

(せや、おやつもらい忘れてたわ・・・)

おやつの袋には、何か書いてある紙切れがついていた。
うちはまだ字が読まれへんから、おかあちゃんに読んでもらった。

「”緑化運動手伝ってくれてありがとう。今度は一緒に遊ぼうね”って書いてあるわよ」
おかあちゃんの声がすごくやさしかった。
「昨日はようがんばったな!」
おとうちゃんが抱っこして頭をなでてくれた。
「ほんま、どんどんおねえちゃんになっていくのね」
おかあちゃんもほっぺたすりすりしてくれた。

りょっかうんどうってすごいなと思った。
何がすごいかはよくわからへんけど、うちにとってはすごいことやってん!

今、うちの夢はお花屋さんになること。
いっぱいお花を咲かせて、幸せいっぱいになるねん!

(文:ゆうみ)

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Last-modified: 2008-06-18 (水) 13:32:30 (3679d)