[[イグドラシル]]


「正式な書面なんて作るだけ無駄だ…。お互いの信用だけで商売しようじゃないか…」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――薄暗い店の店主と男の会話――


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『裏マーケット』通称：裏マと呼ばれる店が存在する。
多くの人々が必要とするモノ、欲しいと思うモノを高額だが取り揃えている店がある。それが『裏マーケット』通称：裏マと呼ばれる店だ。
どこに裏マが存在しているのかという情報はなく、店主を探すのは困難を極めた。しかし、多くの時間と費用を掛けて男はついに見つけたのだ。
それは、どこかの裏路地の更に奥…。そして、地下へと続く階段を下った所にその店はあった。一見、なんの変哲もない薄暗い店にみえるが、監視カメラをはじめとする様々なセキュリティシステムが導入されており、店主の用心深さが感じられる。

扉をくぐると、そこは更に薄暗く、店の奥に丸い黒眼鏡の奥に鋭い眼光を宿した太った親父が座っていた。店主と思しきその男は、店に入ってきた男を一瞥して
「冷やかしなら帰れ…」
と人の悪そうな雰囲気を漂わせて、そう言った。普通ならその場で回れ右しそうなものだが、男はなるほどと言う感じで店主のいるカウンターに近づいていき
「冷やかしでないのでやってきた。取引がある…」
というと開封されていない箱に座った。
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「内容は？」
「涼州藩国と商売をしないか？」
「……。」
どんな豪商でも飛びつくような話を振ったにも関わらず、無言で話を続けろと促される。
しかし、そんなことも織り込み済みだといわんばかりに、男は顔色一つ変えずに話を続けた。
「どうだろうか？」
あいづちもないままに男が一通り話し終わったところで、無言だった店主が口を開いた。
「他の条件はないのか？ないなら話は終わりだ…。帰れ」
しかし男は当然のように頷いて次の言葉を紡ぐ。
「うちとの取引を行っている間、俺の権限で経済活動の安全を保障する。そして･･･」
普通の店では口にすらできないような事柄も、ここでは商売の取引材料になる。
「条件はこんなもんだ」
店主は暫く、沈黙した後に
「まさか、手ぶらと言う訳ではないのだろ？」
と言って店を閉め、男を店の奥の部屋へ誘った。そこで、男と店主によって取引に関する具体的な話が行われたのである。

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男が去った後、そこにはもう、怪しい店も強面の店主もどこにもおらず。ただ、古ぼけた部屋が埃を被って残されていただけだった。 

RIGHT:（文：悪童屋　四季）
RIGHT:（絵：可西、NEKOBITO）

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***おまけ。 [#pb052e18]

#region(おまけ)

#ref(http://www.cano-lab.org/akudo/bbs3/data/1236524417.jpg,left)
RIGHT:（絵：ゆうみ）
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