[[イグドラシル]]


&ref(tobira_yocky.jpg);

核実験設備への入り口には、危険マークが大きく描かれた、
その存在自体で立ち入り禁止を主張できる程の重厚な扉が設置されている。
悪童同盟では、政庁内のセキュリティロックは一般にカードキーで行われており、入退出までチェックされている。
各人の担当職務によって、カードキーの色は大別されており、私室も含め、関係者以外立ち入り禁止区域を明確にしている。
そして、この扉は最高レベルのセキュリティカードキーでなければ開くことが許されない。

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その上、複製が困難な特別製のシリンダー錠でも厳重にロックされており、
入り口への通路は政庁内でも関係者以外には秘密にされているという徹底ぶりである。
もちろんその通路はここには書けない。

扉をくぐってさらに長い通路を進むと、内外とも厚い金属と超硬度樹脂で覆われたエレベーターがぽつんと設置されている。
このエレベーターには、扉の開閉にも、作動にもセキュリティロックがかけられており、侵入者を徹底的に排除するシステムになっている。

階下・・・地下深くの部屋にたどり着くまで数分。
そこには、悪童同盟内では最高級の計算能力をもった巨大なコンピュータ
・・・以前よけ藩国のチャットで活躍していた初代ダイス君が鎮座している。


核兵器の開発は、企画設計をよっきーが、実務をヨルクサが行っていた。
政庁内でも一風変わった雰囲気を持つヨルクサなら、長期間所在がわからなくとも誰も疑問に思わない、という理由もなくはない。
しかし何よりも、ヨルクサの技族としての腕前は一級品であり、
よっきーが安心して仕事を任せられるのはヨルクサを置いて他にはなかった。

月そのものを要塞にするような相手には、かなりの火力でなければ対抗できないという考えから、
開発当初は燃料気化爆弾と同様に火力をあげる事に重きを置いていた。
しかし、初代ダイス君でのシミュレート結果で、
最大火力を求めると核爆弾を投下する白夜号もろとも消滅するほどの威力になってしまうことが判明した。
そこでよっきーは核爆弾の威力を抑える方針に路線変更する事にした。

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最終的に仕上がった核兵器は、火力と経済性を両立させる為
外周部にはD-T燃料のレーザー水爆を配置して
中心部に置いたD-D燃料を爆縮させるという方式を採用している。

新型太陽電池の発電効率を上げるために開発された量子ドットの技術を応用すると
レーザーの出力を大幅に上昇させることが出来る事に、よっきーが偶然気づいたのだ。 
その後のシミュレート結果で威力の調整に成功し、実際の核実験へと計画が進んだ。

周辺の水産資源、海底地質、風向きの調査の結果、高知県から600kmほど南の海上が実験場として選定された。
準備期間と海流や風向き、各国への周知や折衝などにかかる時間を考慮した結果
核実験は二週間後に設定された。

この二週間の間、悪童屋とよっきーは各国への周知と説明−−どこの藩国にも所属していない地域住民も含めて−−に追われた。
実験の前後一週間、総力を挙げて周辺海域の哨戒を行う予定ではあるし
目印もなく、漁場としても使われていない海域を通る船などそうそうないはずだが
万が一のことがあってはいけないからだ。

白夜号による核爆弾の投下がパイロット、コパイロットとして志願した松とヨルクサによって行われ、実験は成功した。
実験データの収集もヨルクサによって確実に行われた。

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全てのデータを集めて検証した結果。
威力はシミュレート結果に対し1%以内の誤差。
放射性物質の残留も一般に問題が発生しないと言われているレベルに抑えられたことが判明。
実験は成功に終わった。

***SS版設定文 [#tf0adbfc]
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ここは悪童同盟の王城地下深くに存在する、政庁内でも一部のものしか知らない秘密の通路。
薄暗いその通路を歩く、大小二つの影があった。
二人は通路の突き当たりに備え付けられたドアの前までたどり着くと、
電子式のカードキーとシリンダー式の鍵を開け、重厚な音とともにドアを開けた。

開けてこそ分かったことだがそのドアの厚みは実に10cmを超えており、
あたかも銀行の地下にある金庫の扉のような雰囲気をかもし出していた。
そして扉の内部から漏れ出た光によって二人の顔が照らされる。

大きな影はNEKOBITO。最近悪童同盟に入国した、新進気鋭の技族だ。
そしてもう片方は摂政のよっきー。何の意図があってのことかは知らないが、
小学生のような小さな外見のアイドレスを好んで着用しているため、
実際はさして大きくないNEKOBITOの体が長身に見えている。

NEKOBITOを連れてドアをくぐり、再度鍵をかけ終えるとよっきーは言った。
「どうしてこんな、と思うかもしれないけどこういうのが意外と保安上重要でね?」
はあ、と生返事を返すNEKOBITOに対して一方的にまくし立てる。
「例えばこのカードキーだけど、僕のは紫だが君のは黄色だよね。
 これは光のスペクトルになぞらえたセキュリティクリアランスが表されていて、
 これによって入れる区画が決まっているわけさ。ちょっと偏執的な気もするけどね」

でも、と言い今度はシリンダー錠の鍵を取り出して
「それだけじゃあ侵入者にカードが解析されたりしたらおしまいだからね。
 こうやって物理的な鍵を用意しておけば、電子的な攻撃しか出来ない相手は無力化できる。
 そして逆に電子的な攻撃が出来なければ鍵穴すら出てこないというわけさ」
「なるほど、残った力ずくで開ける相手には扉の強度自体で対抗するわけですね」
「そういうこと。まああの扉の厚みはそれ以外にも理由があるんだけどそれは置いとこうか」

そして二人はまた長い通路を歩くと、今度はエレベーターに乗り込み、さらなる地下へと潜って行った。
エレベーターに乗って何分ほど経っただろうか。沈黙に耐えかねてNEKOBITOが口を開く。
「こんなセキュリティシステムと、こんな地下深くにまで施設を作って。
 いったいここは何をするところなんですか?うちの国はなにをやってるんです?」
「面白いものを見せてあげよう、と言ったよね?まあ見れば分かるさ。
 ……あー、多少予備知識が無いと分からないかもだけど、君は技族志望だから
 そのうち否が応でも分かるようになるさ」
「それはそうですけど」
「じゃあヒントをあげようか。うちの国を代表する物というと、なんだと思う?」
「そりゃあ藩王様……でも物じゃないですよね。燃料生産地は他にもあるし。
 だったら白夜号かな?」
「正解。さすがの洞察力だね。さあ、もうそろそろ着くよ」

エレベーターのドアが開くと、目の前には巨大なコンピュータと思しき物が鎮座していた。
「これは……」
思わず駆け寄るNEKOBITO。それを見てよっきーが答える。
「ダイス君……そのシリーズ初代の成れの果てだよ。
 よけ藩会議室駐屯の役目をXに譲ってからはこちらで使っていたのさ。
 旧式だがなかなかこれで計算能力は新型と比べても遜色のないものだし、
 不完全ながらぜのすけのOSだってエミュレートできるようになってる。
 少なくともこの悪童同盟内では最高級の計算能力をもったコンピュータさ。
 ……だがそれすらも単なる手段に過ぎない」

いつの間にか、よっきーの表情からはいつもの人懐こい笑みは消えていた。
それに気づいたNEKOBITOの背筋に冷たいものが走る。
「さっき、この国を象徴するのは白夜号だ、と言ったよね。
 白夜号はステルス機。誰にも見られず飛行することが特徴の機体だ……
 だがそれならばなぜ白夜という名前なのか考えたことはあるかい?
 何故闇夜号や無明号のような、ただ闇や不可視を象徴するような名前でないか」
「白夜……それは夜になっても沈まない太陽……太陽?まさか!?」
「その通り。ぼくらは、悪童同盟は……」

「このニューワールドに人工の太陽を現出させる。それはすなわち」
「「核融合だ」」
よっきーの声に誰かの声が重なり、巨大なコンピュータの影から長身痩躯の男が姿を現した。
「紹介しよう。彼は悪童同盟新兵器開発主任のヨルクサくんだ。
 最近はずっとこちらに篭って開発に専念してもらっていたからまだ知らないだろうね。
 ヨルクサくん、彼が前話したNEKOBITOくんだよ。」

ヨルクサは屋内であるにもかかわらずかけっぱなしのサングラスを少しずらすと
NEKOBITOのほうを値踏みするように見つめた。
「使えるかどうかは、使ってから確認してやってくれないかな。
 それよりも、頼んでおいたシミュレーションの結果はもう出ているかな?」
ヨルクサは無言で近くのコンソールのキーボードをたたき出す。
すると天井から光が投射され、床に悪童同盟全土の立体映像を描き出した。

「まあ、見れば分かると思うけどこれが悪童同盟の全体図だね」
「これが王城で……、こっちに並んでるのが藩王様の家とりんくさんの家ですよね」
「そうそう。じゃあヨルクサくん、一度シミュレーション結果出して。TBの最新版で」
ヨルクサがまたキーを叩くと、画面上に黒いマークが現れた。
「これ……白夜号ですよね?」
「そうだよ。原寸と比べるととてつもなくでかい表示になっているけどね」

ほどなくして白夜号のマーカーは藩国内を北上するように移動を開始した。
そしてマーカーが藩国の中心部に到達すると、その上に9という数字が現れた。
黒いマーカーはそのまま北上を続けるが、数字はその場に留まり、暫くすると9の数字が8へと変化した。
「これって、カウントダウン……?」
「まあ見ていれば分かるさ」

白夜号のマーカーが地図上から消えたのとほぼ同時に、藩国中心にあった数字も0へと変わる。
その瞬間数字は大きな火の玉へと変わり、加熱によって生み出された上昇気流がきのこ雲を生んだ。
「む……ちょっと演出過剰じゃない?」
火の玉の閃光に目をやられたのか、よっきーが顔をしかめてヨルクサに抗議するが、
当のヨルクサはどこ吹く風といった顔で、二人分のサングラスを投げてよこした。
「それでサングラスをかけていたんですね……うわ、これは……」

NEKOBITOがサングラスを受け取って再度地図に目をやると、
ちょうど中心部にあった悪童屋四季と奥羽りんくの家は爆発によって破壊され、
そのすぐ横にあったオアシスも爆発の熱によってほぼ蒸発していた。
都市部の居住区にも城壁越しに被害が広がっており、爆発の威力をうかがわせている。

「これが核の威力なのか……」
「「いやいや」」
NEKOBITOのつぶやきに、再度二人の返答が重なる。見ればいつの間にかよっきーもサングラスをかけていた。
「これを見せるのが目的なら、''終わってからサングラスは渡さない''よ?」
その言葉に一瞬NEKOBITOの呼吸が止まる。

「これはTB……サーモバリック爆弾、言い換えれば燃料気化爆弾だね。それのシミュレーション結果さ」
よっきーがヨルクサに視線をやると、心得たとばかりに次々とキーが叩かれる。
「これから見せるのが本命。NB、つまり核爆弾のシミュレーションだよ。
 どんな結果になるかは僕も知らないから、まあ実際に見てみないとね」
「危険はないですよね?」
「シミュレーションで、僕らに危険?まさかそんなことはないと思うけど……」
再度ヨルクサに視線をやるがヨルクサの表情は変わらない。
「ま、作った人が作った人だから。っていうことで」
「それは安心すべきなんですかそれとも心配すべきなんですか」
「それくらい自分で判断しなよ」
「さっき名前を聞いたばかりの人をどう判断しろと……」
「ははは、そんなことよりそろそろ始まるよ」

既にシミュレーションは中ほどに差し掛かっており、
白夜号を示す黒いマーカーは再度藩国中心部に不吉な数字を残したまま藩国北部を移動していた。
4……3……2……
数字が一つ小さくなるごとに、空気に緊張感が増してゆく。
1……
ゴクリ、とよっきーののどが鳴った。

そして……0!
目もくらむような閃光が熱をすらもって部屋の中を覆いつくす。
サングラス越しとはいえ、直視に耐えられるような代物ではない。
NEKOBITOもよっきーも思わず腕で目を覆って顔を背けた。

閃光は一秒もしないうちに収まったが、二人が視線を戻すとそこには
先ほどの燃料気化爆弾のシミュレーションとは比較にならないほど大きな、
藩国全土を覆い尽くしてまだ有り余るほど巨大なきのこ雲がそびえ立っていた。
やがてきのこ雲が風によって少しずつ流されていくと、
もと藩国のあった場所が綺麗に消滅して海の一部になっているのが確認できた。

「……む、とりあえずは成功といったところかな?」
満足げな声でよっきーがつぶやくのを聞いてNEKOBITOがあわてる。
「と、とりあえずって藩国消えちゃいましたよ!ものの見事に!
 地図の書き換えが必要ってレベルじゃないですよこれ!」
「まあまあ、別に本当にうちの国に撃つわけじゃないんだから……
 それはそれとしてヨルクサくん、白夜のほうは?」
「無事だな。99.978%の確率で。」
「ふうむ……超音速飛行の出来ない白夜じゃこのあたりが限界かな?
 念のために出力をあと2%ほど落としておいてもらえるかな」
「これ以上落とすとなると少々面倒だな。やってはみるが」

「ちょっと待ってください……じゃあ何ですか?
 これは核爆弾の''威力を抑える''実験のシミュレーションだったと!?」
「そういうこと。開発当初は何も考えずに大火力だけを追求してしまったから
 投下後に白夜号自身が真っ黒焦げに……ってまあもとから白夜は真っ黒だけど。
 でもね。広島県を地図から消し去り、月そのものを要塞にするような相手には
 これくらいの火力がないと対抗できないと僕らは考えていたんだ」
ヨルクサに代わってキーを叩くよっきー。
「これが初期型のシミュレーション結果だよ。当時は立体映像を出力できなかったから
 静止画しか見せられないけどね」

(画像は開発中のものです。実物とは異なる場合があります)

「遠近感が分かりにくいと思うけど、大体これ一発で北海道が吹き飛ぶ程度だね。
 火力と経済性を両立させるために、外周部にはD-T燃料のレーザー水爆を配置して
 中心部に置いたD-D燃料を爆縮させるという方式をとっていてね。
 構造は違うものの、いまでもこの思想は引き継がれているのさ……っと、
 レーザー水爆の仕組みについては説明しなくても大丈夫だよね?」
「きれいな水爆、ですよね。核融合反応に必要な超高温と超高圧の状態を生み出すのに
 普通はウランやプルトニウムによる原子爆弾を使うところをレーザーで代替する……
 そのせいで残留放射能はほとんど発生しないとか」
「それだけわかっていれば充分だね。核融合を多段階で反応させているのは
 種火を一度燃えやすい紙にうつしてから焚き火に火をつけるのをイメージすれば分かると思う。
 まあその種火のレーザーすら確保するのに莫大なエネルギーが必要になるわけだけどね」

「そこに関してはちょうどいい技術が同時に開発されていたからな」
「うん、NEKOBITO君も開発に関わってた新型の太陽電池だね」
「太陽電池ですか?……なるほど、量子ドットの作成技術ですね」
「そうそう。レーザーの発振素子の作成に量子ドット技術を応用するとね、
 レーザーの出力を大幅に上昇させることが出来るって偶然気づいたんだ。
 まあ光を電気に変えることと電気を光に変えることなわけだから、
 後から考えてみれば別段不思議なことでもなかったんだけどね」
「そう単純な話でもなかったがな……まあその話は後でいい。」

「本題に入ろう。実験の許可は下りたのか?」
「結論から言えば、GOだよ。実験場を国内に用意するわけにはいかないから、
 600kmほど南の海上でやってもらうことになるはずだ。」
「周辺に被害は出ないようになってるんですよね?」
「もちろん周辺海域の哨戒はするし、各国にもこちらから周知するから……
 それに好き好んで目印も何もないようなところにやってくる人もいないと思うけど。
 放射性物質もほとんど出ないはずだから、問題は周辺の水産資源くらいかな。
 それについても漁場として使われてない場所を選んであるから大丈夫のはずだよ」

ふう、とため息をつくNEKOBITO。
「なるほど。じゃあ僕にその実験に立ち会ってこい、というわけですね?」
「いや、そうじゃないよ。白夜号のパイロットには松が志願しているし……」
「コパイロットは俺がやる。データ収集用プローブの操作も必要だからな」
「じゃあ僕は何のためにここに呼ばれたんです?
 まさか本当に面白いものを見せようって言うだけじゃないでしょう?」

「万が一だ。万が一俺がいなくなった時に跡を継げる奴が欲しいと思ってな。
 ……摂政には無理を言った」
そういってヨルクサはサングラスを外してポケットへと収めると、
NEKOBITOの頭をぽん、と叩いて部屋を退出しどこかへと去っていった。

「どういうことです?技術者ならキサルさんだって……」
「彼女は確かに優秀な技術者だが、だからこそ彼女じゃだめなのさ。
 今はまだ分からないかもしれないけど、それでいいんだよ」
「そういうもの、ですか……」
「そういうものさ。さあ、そろそろ僕らも上に戻ろうか。
 万が一が起きないためにも、白夜号をしっかり整備してやってくれ」
「はい」



これより二週間後、南の海に大きなきのこ雲が上がった。
それは天を支える柱のようにそびえ立ち、はるか北海島からも観測できたという。



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:派生元のアイドレス|燃料気化爆弾 
:派生先のアイドレス|核の封印

L:核兵器の開発 = {
 t:名称 = 核兵器の開発(技術)
 t:要点 = 研究者,遮光眼鏡,キノコ雲
 t:周辺環境 = 実験場
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *宇宙戦でミサイルを使用した攻撃では評価に+4される。
  *国家間外交において+4の修正を得る
  *国家の支持率は−30%される。
  *相手国の使用した場合、相手国の施設30%が破壊され、人口は半分になる。運搬のために10人機の輸送が必要
 }
 t:→次のアイドレス = 核の拡散(強制イベント),絶滅戦争(イベント),核の封印(イベント),宇宙兵器の開発(イベント)
}

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