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12月某日。
悪童同盟の王城では、新年を迎える為に大掃除が行われていた。

特にテノレは戦時中にあまり活躍できなかった分がんばろう!と張り切っており、これでもかという程掃除に熱中していた。
「よっきーさん、せっかくなので悪童さんの書斎も掃除していいですか?」
ここで断ったら僕食べられちゃうんじゃまいか・・・というほどの勢いで質問され、
(私室じゃないから新婚生活の邪魔にはならないからいいだろう)
と軽い気持ちで頼んだ。
(悪童さんだから大丈夫だろうけど、念のため書類整理も頼んでおくか)
「あー、そうですね。お願いします。ついでに未決済の書類が残っていたら集めておいてください」
「わぁ、未決済の書類があったら一大事ですね!がんばって探します!」
さっきより一段と気合の入った表情・・・いや、形相のような気もする・・・に変わる。
「ちょっ、テノレさん」
呼び止めようとするよっきーをガン無視して、テノレは悪童屋の書斎へ飛び込んでいった。
(なんか主旨が変わったような気がするけど、まぁいっか)
この違和感が騒動の始まりだとは思いもしないよっきーであった。

「らららー おそうじー るるるー おそうじー」
鼻歌まじりで掃除をするテノレ。
この上なく楽しそうである。

「未決済の書類・・・未決済の書類・・・っと・・・。むむむ、みつかりません!」
テノレ、何故か険しい顔になる。
「絶対に一つくらい隠れているはずなのです!見つけてみせます!」
なにか違ってないかテノレ(汗
そして一冊のノートを発見した。
「あっ、これは・・・ハンコを押してありません!中身を確認しなければ!」
ページをめくる。
「あれ?」
もう一枚めくる。
「あれれ?」
さらにもう一枚。
「これは事件です!誰かに報告しなければ!!」
いや、ノートなんだからハンコ押してあるわけないぢゃん・・・などというツッコミをしても仕方がない。
相手はあのテノレなのだ。
使命感に燃えるテノレは片づけを放り出して書斎を飛び出した。


テノレが最初に見つけたのはキサルだった。
「キサルさーん!」
「はい?」
「こっ、こんなものを見つけてしまいました!どうしましょう!」
大判の手帳のようなものを高々と掲げるテノレに、キサルはどう対応していいのか戸惑いつつも
「ふぇっ??中身を見せていただいてもいいですか?」
という比較的無難な対応をしてみせた。
これも慣れだろうか。
「はい!」
えいやぁ!と押し付けられたノートを開いてみると、そこには・・・悪童屋のらぶらぶ日記がしたためられていた。
「ふ・・・ふふふふふ。テノレさん、これはいいものを見つけましたねぅv」
「キサルさんっv」
「テノレさんっv」
抱き合い、手を取り合ってキャッキャしながら飛び回る二人。
「いたっ!」
「大丈夫ねぅー?」
猫なので高く跳ね上がりすぎたらしく、テノレが天井に頭をぶつけてなみだ目になる。
喜びすぎである。

「うーん、そこまで高いところが好きなら、天井も拭いてもらうとすっかなー?」
そんなところへ涼しい顔で通りがかったのはゆうみだった。
「いたいのいたいの、とんでけー!」
テノレの頭をなでなでして、ぽーいと何かを投げる真似をする。
「はいはいテノレさん、もう痛くないですよー」
「うぅ、ありがとうですー」
テノレ、涙をぬぐう。
「すごいですねゆうみさん、さすがは元お医者さんなだけありますーv」
変なところで天然なキサルの言葉に遠い目をしつつ、ゆうみは本題に入った。
「そのノート、ちょっと見せていただけますか?」
テノレとキサルの目がキラキラと輝く。
よほど人に見せびらかしたかった様だ。
あまり関心のなさそうな表情を装いつつ、ゆうみはノートをめくっていく。
だが、ページをめくるにつれて、その口元はいたずら小僧の様相を隠せなくなっていった。
(最近藩王日誌もごぶさただなぁと思ってたけど、こっそり書いてたのか)
「テノレさん、キサルさん、お手柄です。この内容は悪童新聞に掲載しましょう」
満面の笑みで二人を見る。
「悪童新聞?」
「そんなのありましたっけ?」
二人の言葉に、いやいや、と、かぶりをふる。
「今から作るんですよ。不定期発行です。新聞といっても掲示板に貼り出すだけですけどね」

/*/

「と、いうわけで、だ。重大なニュースがあるから掲示板に貼りだすぜ」
摂政の許可ぐらい取っとかないとなー、と、奥羽りんくへと国内業務を引き継いでいたよっきーの元へやってきた。
「どういうわけなのかわからんが、作るなら勝手にやれ」
「はいはい。じゃ、お願いしますよお二人さん」
「コピー機で拡大するねぅ」
「早くしなければー!」
猛スピードで作業するテノレとキサルを見、りんくは手伝いを申し出た。
「あっ、私も手伝います。今、丁度一段落ついたところなんです」
「わーい、ありがとうございますーv」
「うれしいですねぅーv」
さて手伝おうかとコピーされた文章を読んだりんくは目を輝かせた。
「こっ、これは!」
「悪童さんが隠してたみたいだぜ。」
にやにやしながら作業に勤しむ女子3名を眺め・・・。
ゆうみはまた一つ、ひどいことを思いついた。
「あー、そこの松」
「なんでしょう?」
「この作業終わったら、掲示板に貼っといて。女の子じゃこのサイズは大変だろうから」
「うぃっす!」
「じゃあオレは準備があるんで、ちょっと席外すー。あとよろしく」
マントを翻し、医務室へと向かう。
(これをやるからには用意しといてやらんとなー)

/*/

1時間後。

掲示板の前を横切った悪童屋は、なにやら大きな紙面を貼り付け終わったらしき松を発見。
逃げ腰になる松。
わざわざラミネート加工まで施された紙面の内容を読んだ悪童屋は満面の笑みで松に話しかけた。
「松くん。ちょっと向こう行って話そうか」
「あ、あ、悪童さん、せめてこう、ネタ的においしい場所でお願いします!」
「はっはっはー、そうかー松くん」
コキコキと指を鳴らす悪童屋に、せめてもの抵抗をしようとして失敗する松。
「あーやめて僕まだ全部読んでないんでスギャァァァ!!」

その後、戒人と豆腐の間で
「さっき掲示板のあたりから悲鳴が聞こえてきたんだよねー」
「まさか掲示板が隠し扉になっていて、その向こうに拷問部屋があるとか・・・そんなわけないですよねぇ?」
と噂されているとは露知らず、松の義体はまたしてもボコボコにされていったのだった。

やっとの思いで松が医務室にたどり着くと、そこにはゆうみとヨルクサ、そして見慣れない義体のパーツが用意されていた。
「んじゃぁヨルクサさん、あとはお願いします。松、がんばれよ」
そういって医務室を後にするゆうみを、ぼーっとした瞳で追う松。
「松くん、そこのベッドに寝て。起きたら新しい世界がまっているよ・・・フフフ」
ヨルクサのいやらしい笑いに本能的な危険を感じた松は
「しっ、自然治癒で大丈夫ですからーぁぁぁっ!!」
と、脱兎の如く逃げ出したらしいとかなんとか。


○月○日 天気:晴れ
 今、小笠原から帰る船でこの日記を書いている。
振り返ってみると一人で行く小笠原ははじめてだ。いつもは誰かが一緒に乗っていた船には知っている奴は誰もない…。仕事の合間をぬっての小笠原旅行である。まあ、書置きはしてあるから大丈夫だと思う。
彼女と二人っきりで会うのは初めてだった事もあり緊張していた。ただ、向こうもなんだか照れていたみたいで嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。
 楽しい時間はあっという間に終わろうとしている時に聞いた彼女の告白はあまりにも悲しく、何とかしてやりたいと思った。

○月△日 天気:晴れ
 帰ってから色々と動いていたが決定的な方針は未だに決まりはしなかった…。というか胃がキリキリする感触は久しぶりだった。
 こんな事は滅多にないのだが自分の判断が信じられずに今まで出会った友人達に相談したらとっとと迎えに行って上げなさいって言われた。それでも、決心がつかなかった…。
 なんとも情けない話である。藩国の事ですらここまで悩んだ事はなかった。彼女との約束は俺の中で思っていた以上に大きくなってきているようだ。

○月×日 天気:曇り
 最後の最後で彼女を迎えに行けなかった。自分の慢心と愚かさに腹が立った。というか失ってから彼女の存在の大きさを知ることになろうとは…。

△月○日 天気:晴れ
 やっと、小笠原行きのチケットが取れた。最近は仮予約で申請してから本予約を押えないとチケットが手に入らない位の高騰ぶりだ。今日こそは俺の想っている事を伝えよう…。

 今、彼女が横のベッドで寝ているのを確認してから続きを書いている。幾千の言葉を考えてきたとしても心からの言葉には勝てないのかもしれない。正直、あんなに大泣きされるとは思ってもいなかった。まあ、この日の出来事は一生忘れる事はないだろう…。

△月△日 天気:晴れ
 俺の藩国にやってくる予定だった。奥羽夫妻が広島迷宮で遭難という方が届いた。よくない情報のみが俺の前に積み重ねられていった。ただ、せめてもの救いこの大量の情報の中には二人の死亡報告書が含まれていなかった。
 今回は俺個人にまったく知らなかった事もあって何もない情況からの始まりだった。暫くは眠れない夜を越えないといけないようだ。
△月×日 天気:大雨(台風)
 今日は嵐の予報だったので一日休んでいた。迷宮の事が気になりはしたができる事は全てやった。あとは、彼らの運次第だろう。ここで俺まで慌てては動揺が走るからな…。
 まあ、久々に妻に会えたのは嬉しかった。仕事に追われて会ってやれない事に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。明日はは遅れてしまったが結婚指輪を探しに行こうと思う。いい物が見つかるといいのだが…。

△月●日 天気:晴れ
 いったい、どれぐらいの人に俺の事を話しているのだろう…。嬉しい半面恥ずかしくてたまらんものがある。あと、知恵者という人物からいい指輪を貰った。これでやっと式を挙げる事ができる。今まで中途半端だったがこれで一区切りつきそうだ。そして、一緒に居るとしみじみ俺は幸せなんだなぁと思う…。式まであと…。

△月▲日 天気:晴れ
 いま、自分の名前の紅茶を頂きながらこの日記を書いています。今日はアルカランドの貴族からの招待を受けて出かけていた。二人で出席した始めての公務でいささか緊張したがまったくの初対面でもないのが救いだったがごくごく和やかな雰囲気で話ができた。
 妻がこっそりと俺の名前と同じ紅茶を買うという可愛い事をしていた事に凄く嬉しくて辺りを憚らず抱きしめてしまった。反省しないと…。まあ、帰りに二人で買いにいって贈り物として発送した。

×月○日 天気:晴れ
 今日は迷宮攻略の連絡が届いた。ただ、相討ちだったらしく別で救出作戦を考え直さねばならなかったがそれほど難しくはなかった。俺が思うのは無事に帰ってきてさえくれれば…。
 
×月△日 天気:晴れ
 今日はいい報告が届いた。救出作戦が成功して無事にみな救出されたようだ。これで心配事が一つ片付いた。この作戦に関わってくれた皆さんに礼が言いたい。

×月×日 天気:晴れ
 今日は結婚式だ。そのまま新婚旅行にでかけるので嬉しくてたまらない。興奮して思ったよりも寝ることができなかった。本来なら国賓を呼ぶところなのだろうが俺はしなかったというよりはしたくなかった。妻のウエディングドレス姿を他のやつらに見せたくないという俺の我侭だ。『今日は誰の日でもない俺と妻の日だ!』

×月●日 天気:晴れ
 無事に式も終わり、選別にスバル360を頂いた。これによって旅行の予定を大きく変更してのんびりとした旅行に変更した。トランクにキャンプセットを積み込んで、大きな道を東へと走っていた。今はやっと街に到着してホテルに泊まっている。
 なんか昔に戻ったみたいだ。ただ、その時と違うのは妻がいて一人旅ではなく二人旅という事だ。そして、一緒に出かけられる間にいろんな世界があることを妻に見せてやりたい…。

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いったん[[草稿用掲示板>http://www.cano-lab.org/akudo/bbs2/wingmulti.cgi?bbsname=soukou]]に移設しました。

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