悪童同盟 掲示板
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  [No.1064] アイドレス工場/休憩室にて(正式UP) 投稿者:ゆうみ  投稿日:2008/06/05(Thu) 14:32:14

NEKOBITOさんのイラストに対応したSSを、ということで書きました。

***アイドレス工場/休憩室にて
FEGから非難して来た自分は、当然だが西国人だ。
砂漠の環境には慣れているけれど、難民キャンプにいるとどうも気が滅入りそうで仕方がない。
そんな風に思っていたらインフラ整備の作業員募集が始まって、1も2もなく手を挙げてみた。

さっき子供に休むように言われたけれど、そんなに疲れてもないと思う。


休憩室までの道のり。

「申し遅れました、私、NEKOBITOと申します。技族をやっていましてー」
「この国に来たのが暫く前なので、初めての突貫作業なんですけど、わからないことがあったら聞いてください。一緒に勉強しましょう」
「ふつつかものですが、よろしくおねがいしますー」
笑顔で自己紹介した後、青年がひょこっと頭を下げる。
「あ、ええと、よろしくお願いします」
「よろしくおねがいしますー」
あわててこちらも頭をさげ、自己紹介をする。
(上から物を言われるとまでは思ってなかったけど、ここまで腰が低いと拍子抜けするなぁ・・・)
そんな事を考えていたら、もっと驚くことを聞かされた。

「えーっと、さっき休めって言ってくれた子供さんは?弟さんですか?」
「いえいえ、摂政のよっきーさんですよ」
いやいや、そんなこと笑顔で答えられてもどう反応していいかわかんないって!
子供が・・・摂政!?
きつねにつままれたような顔をしていると、隣の森国人が、ああ、という表情になった。
「そういえば、最初の作業説明の時にちらっと見かけたような?」
「えっ!?どこに?」
自分が見たのは、眼鏡をかけた痩身の女性と、髪がツンツンした全身白の男性、それに目の前にいるNEKOBITOさんだけだったはずだ。
「うーん、前の方じゃないと見えなかったかもしれませんね。今回は急いでて台を用意していなかったので・・・すみません」
いや、そこまで謝らなくても・・・。
「言われてみれば、確かに聞いたことある声だったような・・・」
「よっきーさんはすごいんですよ、仕事が早いし、こっそりだけどいっぱいフォローしてくれるし」
「他の人もそうですけど現場主義で。人材は燃料なんて比較にならないほどの宝物だっていうのが悪童同盟の考え方なんですよ」
第7世界人といってもいろいろなんだなぁ。


休憩室に着くと、一緒に来た彼が、ふらっとなって床の上に倒れこんだ。
大の字でスースー寝息をたてている。
「ちょっと休憩が遅かったみたいですね・・・すみませんでした」
聞こえてはいないだろうが、夢の中にいる彼に律儀に謝って、青年は眠っている作業者をベッドへと運んだ。

自分はテーブルにすわり、喉を潤す事にした。
そのテーブルには数人分の食事が用意されていたが、手をつける様子がないのを見て、青年が人差し指を立てる。
「疲れていても食事はちゃんと取ってくださいね。ほんっと、重要なんですからー」
「うーん、そこまで疲れてるって感じもないし、お腹が減っているわけでもないんだけど・・・」
と悩みながらも、まぁまぁ、と青年に勧められて用意されていた食事に手をつけてみた。

ほどなくして数名の作業者が同じように休憩室へとやってきて、わいわい話しながらテーブルを囲む。
見知った顔はいなかったが、すぐに打ち解けることができた。
どうやらベテランの作業者が多かったらしく、壁に貼ってあった写真を指差しながら、燃料生産地や燃料精錬所を建てた時のエピソードを話してくれた。
もっとも彼らの説明によると悪童同盟の藩国民の殆どはベテラン作業者であるらしいのだが、それは置いておこう。
毎度毎度突貫工事で、でも
また、悪童同盟を立国したのは、旅人の悪童屋、元森国人のよっきーとゆうみで、それぞれ別の藩国から集まったことを知った。
そして、彼らは藩国自体が引っ越したから、俺達も国もひっくるめて全員旅人なんだぜ、すげぇだろ?と自慢気に語っていた。

団欒しているような気分になって食が進み、気づいたら皿は空だった。
「ここでは、自分が食った皿は自分で片付けるのさ」
と、後から来たのに自分より早く食べ終わったスキンヘッドの男がいろいろと教えてくれた。
聞くところによると、自分達避難民の受入を一早く訴えたのは今一緒に働いている人達だという。

難民支援になかなか動きだそうとしない上層部に怒りを覚えて暴動になりそうになったところを
藩王の奥方様−スイトピー様−が止めてくれたのだと言っていた。
「暴動起こしていたらここまで藩国をあげての支援はできなかったよ、さすがは奥方様だよなぁ」
そうつぶやいたスキンヘッドはちょっと赤くなっていた気がした。
確かに、スイトピー様はものすごい美人だ。

お腹が膨れて初めて、自分が疲れていたことを自覚した。
話している間は睡魔の手から免れていたが、落ち着いたら眠くて仕方がなくなったので簡易ベッドにもぐりこむ。
ただの仮眠用のベッドが今の自分には最上の寝心地に感じられて・・・ちょっと幸せかな?なんて思いながら眠りへと落ちていった。


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