悪童同盟 掲示板
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  [No.1063] アイドレス工場/インフラ整備の作業風景(正式UP) 投稿者:ゆうみ  投稿日:2008/06/05(Thu) 14:31:08

こちらはアイドレス工場で働く避難民の視点で書いてみました。


***アイドレス工場/インフラ整備の作業風景

アイドレス工場では突貫作業が行われていた。
偶然通りがかった時にその風景を見て、避難民である僕は目を丸くした。
何故かって?
突貫作業の方が好きなんじゃないだろうかと疑いたくなるぐらい、悪童同盟の人達は生き生きと働いていたからだ。

僕はまだ働くには早すぎるよってお母さんに言われたけど、難民キャンプのテントの中にいてもやることがないし
体を動かすのは嫌いじゃないから働いてみることにした。
おこづかいが欲しかった、ってのも、まぁ、あるけど。


働き始めた初日、不思議な事がたくさん起こった。

作業がうまくいかないなーと困っていると、どこからともなく助け舟がやってくる。
「これはほら、コツがあってさ。こうやると楽なんだぜ。そうそう!うまいじゃないか!」
「こういうのって他の藩国の人に教えちゃって大丈夫なんですか?こう、悪童同盟の人だけの秘密のノウハウだったりとかしません?」
帝國は共和国を敵視してるっていうし・・・秘密を漏らしたら怖いことになっちゃったりしないんだろうかと心配になって聞いてみた。
そしたら、意外な答えが返ってきたんだ。

「バカいうなよ、おまえだって今は悪童同盟の人、なんだぜ?」
「えっ?」
「ここは旅人の国なんだよ。藩王だってそうさ。理由はともかくおまえも旅してここへ来たんだろう?だからここにいる間は立派な国民だぜ?」
「じゃあ、いつまでなら難民を受け入れるとか、そういう期限を切られたりはしないってこと?」
「あっはっは!まさかそんなことするわけがないだろ?気に入ったら住み着いたっていいぐらいの話さ」
その言葉に緊張がほどけたらしく、僕と同じ藩国から来た避難民の一人が嗚咽と共に大量の涙を流して泣き出した。
「ヒクッ・・・よかった・・・よかっ・・・」
あわてて彼の背中をさする。

僕の後ろで作業していたおじさんがタオルを差し出そうとしたけど、油まみれなのに気づいてやめたみたい。
かわりに、恥ずかしさを紛らわすように質問していた。
「しかし、こんな突貫工事、普通は嫌がるもんじゃないの?」
「いや・・・ここは工場内だから屋根もあるし、ましてや地面があるから余裕だってー」
「海底油田を掘るときはそりゃあ大変だったんだ。なんせ海の上だろう?けど、俺はバランス感覚がいいから、波で揺れても大丈夫!」
バランスを取るジェスチュアをしておどけるおにいさん。
「何言ってんだおまえ、『俺泳げないんだー!』って柱にしがみついてたくせにー」
ヒゲのおじさんの突っ込みに、笑いの渦が巻き起こる。

笑いはいい。
は、とう音と共に不安や疲れを吹き飛ばしてくれる。
さっき泣きだした人もつられたようで、今度は笑いすぎて涙を流していた。

一瞬で雰囲気が明るくなり、さぁ、作業を続けようぜとリーダーのおじさんが言ったその時、
ひょろりとした腰の低い感じの青年と、長い黒髪の子供が通りかかった。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様でーす!」
ちわーっす!おつかれっすー!と言うみんなに混じって、僕も元気に挨拶した。

一瞬、子供の顔が曇ったような気がしたけど、気のせいだったのかな?
瞬きしたら笑顔に戻ってた。
その子はすぐに、えらく大人びた口調にで二人の作業員に休憩を勧めた。
「あなたとあなた、かなり疲れてる様子ですね。一旦休んでください」
はぁ、じゃあお言葉に甘えて・・・と、青年に連れられて2人の作業者が休憩室へ向かう。
子供の方は青年と別れ、扉の向こうにある隣の現場へと進んでいった。

「今のは?」
「摂政のよっきーさんと、暫く前にやってきた技族のNEKOBITOさんだよ」
「自分では大丈夫なつもりでも、慣れない作業だと自覚がなかったりするんでね、ああやって休むように言ってくれるんだ」
あんなにちっちゃくても技族でバリバリやってるのかなぁ?
「NEKOBITOさんってちっちゃい子なのにすごいんですねぇ」
「え?ん?・・・ああ、いや、そうか」
質問の意味に気づいたヒゲのおじさんが、くくく、と、笑いをかみ殺す。

「今休憩しろって言ったちっちゃい方の人がよっきーさんだよ」
「ええっ!?」
思いもよらない答えに一瞬凍りつく。
僕だけじゃない。他の人もびっくりしてたよ。
「そうか、こないだの作業説明の時、台に乗ってなかったから見えなかったんだなー」
「いや、どう見ても子供でしょ?」
だよね?僕も信じられないや。
「見た目は子供、中身は・・・頭脳明晰な頼れる摂政さ」
へぇぇ、偉い人は見た目にも違うんだなぁと、よくわからない納得をして、あわてて作業に戻る。
会話の間もベテランの人達はずっと作業をつづけていたことに気づいたんだ。
僕も負けちゃいられないよね!


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